油断ならないコイゴコロ



「…ねえ、あんたはどう思う?」

「だから」

「例えばの話。その当事者になったとしたら、どうしたい?」


タレ目君は畳み掛ける私に反論しようとした口を閉じて、難しい顔をした。


自分の感情にも他人の感情にも敏感でコントロールできる親友。常に一生懸命で、目が離せない彼女が頬を染めた相手は自慢の親友。

しかし鈍感ではない当事者は気づいていた。
親友が全ての気持ちに気づいていること。
その上で自分のために身を引こうとしていること。
そして、それに甘えて自分が行動したところで、誰も幸せにならないということを。


「もう、分からねえよ。」

絞り出された声は切なく掠れていて、私の胸を抉った。


きっとずっと考え込んでいたことだったんだ。
考えて考えて、もう気持ちを抱えることすら苦しいのに、心が手放すことを許してくれない。

知っている。
だって、私もそれをずっと抱えているのだから。


「ごめん。」


そんな思いを抱えてるのに、力になれなくて。


「…なんでお前が謝るわけ。」


「うん、ごめん。」


「意味分からない謝罪はいらん。」


違うんだ。二回目のごめんは、これからのことに対して。言葉を発することなく頭を横に振る私を、タレ目君は怪訝そうに見やる。