恋をすると周りが見えなくなる。

こんなの嘘だと思っていたけれど、本当だって初めて知った。

怖いくらいに相川はわたしを虜にするから。

まるで相川の笑顔で世界が動いているかのように、彼がわたしを見ていればそれだけで死んでもいいなんて思える。

「あっ…。」


でもそんな私たちのやり取りを見ている視線に気づき、わたしははっと我に返った。

わたし、なにしてんだろ。

彼女の前で…

慌てて振り返る、


「っ、白石さん、ごめんね? でも心配しなくていいよ。相川のこと眼中にないから。わたし、すきなひといるし!ほら、二人でいちゃついて来てくださーい!」


わたしって邪魔なんだろうなーなんて思いながら、自分で言ってて笑えてくる。

眼中にないなんて、ほんとばかみたい。

わたしは、みんなに嘘をついている。


美希以外のみんなには、わたしには今好きな人がいるって言ってる。


実際、嘘じゃないし?


そしたら相川だって怪しまないし、めでたしめでたし。