「あ、相川、どういう系のお店がいいの?」


わたしは火照った顔を冷ますように手の甲を頰に当てる。


「あー…わかんね。」

「いや、白石さんの好みとかは?」

「聞いたことねえんだよ。」

「はあ?」


相川、あなたそれでも彼氏ですか?


「どういう時に聞くんだよ、そーゆーの。」


いや、そーゆーのって…普通の会話で出てくるでしょ!

付き合って一年なんじゃないの?去年の誕生日は…って、そうか。今年が初めてか。


…って、そうじゃなくて!


わたしでさえ知ってるよ、相川の好きなものとか、全部…まあ、こんなやつのことが好きだからっていうのもあるけど。


「じゃあ相川はわたしの好みわかる?」

「はあ?お前の好み?」

「やっぱりなんでも、」

「青系基本全部好きだけど、スカートはNGで、ぬいぐるみはなんでも好き…って何言わせてんだよお前。」


っ……

なによ。


なんであんたがわたしの好み知ってるのさ。


白石さんのは…知らないくせに。


「なんで知ってんの。」

「は?そりゃこんだけ長い間お前見てたら普通わかるだろ。」


それ、そっくりそのまま白石さんの好みに返したいところだよ、相川。