「日向子、顔、見せて?」
「…今ダメです。泣いてて、ぐちゃぐちゃだから」
「いいから、命令」
私はそっと手を外す。
目の前に、大好きな朔弥の顔があって、優しい瞳の中には、ちゃんと私がいる。
「愛してるよ、日向子」
2人の距離が、ゼロになる。
「っ…ん、ふっ…」
何度も角度を変えながら、確かめるようにキスされる。
頭がぼんやりして、何も考えられない。
好き。大好き。
「ふっ…さ、くや…ん」
「ふっ…ばか、もう喋んな」
お願い、神様。
もう私たちを引き離さないで。
どうか、これから先もずっと。
この人の側に居させて。


