「朔弥様、もうそろそろ部屋に…」
「ダメ」
私の膝の上に頭を置いたまま、彼はおそるおそるの提案をキッパリと断った。
「やっと一緒にいられるんだ」
じっと見つめられて、私は顔が熱くなるのを感じる。
「…好き」
ポロリと口からこぼれた言葉に、何故か泣きそうになる。
好き。好き。あなたが、好き。
それさえ言えなかったこの1ヶ月間は、途方もなく長くて。
やっと、あなたに届いた。
「ばか、泣くなよ」
「だって…」
朔弥は起き上がると、軽々と私を膝に乗せて抱きしめる。
「ふっ…あいた、かった…」
「ん」
「も…絶対、離れない」
「…俺も、話さない」
グッと腕に力が込められて、苦しいほどに抱きしめられる。
それが嬉しくて、愛しくて、胸が締め付けられる。


