「ありがとう」 一瞬、なにを言われたのかわからなかったのか、数秒橘は反応しなかった。 「それと、悪かったな。俺はお前に酷いことをたくさんした」 「…なんですか、急に」 その顔は少し寂しそうで。 でも、俺が最後まで言うのを待ってくれる。 「俺は、日向子が好きだ」 口にするたび、思うたび、その気持ちが強くなる。 「…あーあ、完敗しちゃったな」 橘は、笑った。 「朔弥様にここまで言わせるなんて、ひなはすごいですね」 今まで見てきた中で、一番清々しい笑顔で。