「「あ」」 階段を下りたところで、目が合う。 「すみません、変な声を出してしまって」 「いや、それは俺もだろ」 柔らかい笑顔で、橘は続けた。 「お食事の準備が整いましたよ」 俺は多分、無意識のうちに今までこいつの存在に助けられてきた。 気持ちを知っても、切り捨てたくないと思った。 そして、多分傷つけた。 「橘」 呼べば、なんでもないように振り返る。 もう、俺の気持ちを知っているくせに。