パーティーから一夜が明けて、俺は親父の書斎に呼ばれた。


威圧感のある扉の前で軽く深呼吸をしてから、ゆっくりと開く。


「失礼します」


座ってこちらを見る親父の顔が、少しだけ疲れているように見えて目をそらす。


「…何故私がお前を呼んだかは、分かっているな?」


「…はい」


冷たい目が、俺を射抜く。


「馬鹿なことをしたという自覚はあるみたいだな。明日、壇上家に詫びに行く。少し頭を冷やせ」


「俺は」


親父の威圧感に負けないように、俺はキッパリと言葉を放つ。


「昨日の行動を訂正するつもりはありません。俺の意思でやったことです。後悔はしてません」


「朔弥、」


「俺は、壇上家の娘と婚約するつもりはありません」


親父が、目を見開く。