「…そう思うのにね、それでもやっぱり好きなの」
だって、あなたとの記憶が多すぎるから。
ムカついて、怒って、楽しくて、笑って、ドキドキして、悲しくて、辛くて、泣いて。
全部あなたがいたからできた。
朔弥がいない人生なんて、もう考えられなくなっちゃったの。
「バカだな、私。辛いのに、苦しいのに、やめたいのに。…報われないのに、それでも好きだなんて」
「俺にしなよ」
頭を撫でていた手が止まる。
…今、なんて言ったの?
「拓人、くん?」
顔が見たい。なのに、抱きしめられているせいで彼がどんな表情をしているのかわからない。
「朔弥じゃなくて、俺にしなよ。そしたら、ひなちゃんのことずっと笑顔にさせる自信あるよ」
「…拓人くん、私…」


