「ここは…」
「今めっちゃ流行ってるフルーツたっぷりのパフェ!俺ずっと食べたくてさ〜」
行列の中でそう言う久遠さんの顔は本当に幸せそうで、不思議と付いてきてよかったと思った。
「男一人じゃ並びにくいしさ」
「久遠さんなら、一緒に行ってくれる子他にもいたんじゃないですか?」
この人は絶対にモテる。しかも、きっとそれを喜んで受け入れるタイプだ。
「うーん、まあそうなんだけどさ。ていうかその呼び方は嫌だなあ。下の名前で呼んでよ」
「…拓人…くん?」
さすがに呼び捨ては抵抗がある。実質今日知り合ったばかりだし。
「うん、まあそれでいいや」
やっとのことでお店に入れて、メニューを渡される。
「た、高い…」
こんなパフェ1つに1,200円!?なんという贅沢な…
「お金は俺が払うから、好きなの選んでよ」
「い、いえ!自分で払います!」
「頑なだなあ」
店員さんを呼び、私はいちご、拓人くんはマンゴーを頼んだ。
店内を見渡すと確かにあまり男の人はいない。甘いものは苦手な人が多いからかな。
…朔弥は、ああ見えて意外と甘党なんだよね。
私が作ったハニートーストを文句を言いながらも食べていた姿を思い出す。
思い出して、泣きそうになる。なんだかすごく、昔のことみたいで。
「ひなちゃん!」
突然ほっぺが両側に引っ張られて、私は驚きで目を見開く。


