香織からのメッセージ。みんなに気を遣わせてしまった…
行くところもないし、どうしよう…
とりあえずななちゃんに電話して…
「あれ?君、朔弥のメイド?」
突然顔を覗き込まれ、私は思わず後ずさる。
「えっと…」
「あれ、忘れちゃった?」
ふわふわの茶髪に、着崩された制服。…あれ、この制服、朔弥と同じ…
「あっ、朔弥の友達の…」
「そーそー、あの時は自己紹介出来なかったけど。朔弥の友達の久遠拓人です」
前に朔弥を迎えに行った時に周りからの悪意ある視線から助けてくれた、紳士だ。
「あ、桜田…」
「ひなちゃん、だよね?」
そう言ってにっこり笑う姿が様になりすぎていて、今ですら周りの視線が集中している。
まるで、王子様だ…
「えっと、じゃあこれで…」
そう言って立ち去ろうとした私の手を、優しく彼が掴んだ。
「待って、ひなちゃん今暇?」
「え?」
「付き合ってほしいところがあるんだけど」


