朝食をとり、一旦部屋に戻るとカバンを持って車に向かった。


「行ってらっしゃいませ、朔弥様」


廊下ですれ違う使用人の中に、もちろんあいつはいない。


目が自然と色々な場所にうつる。…まるで、誰かを探してるみたいに。


ふと中庭の花壇の横に見慣れた制服のスカートを見た気がして、思わず足を止める。


「ひな…」


「朔弥」


出かけた声が途切れる。後ろからかけられた声に振り向く。


「…おはようございます」


「おはよう、学校か?」