「…話って?」


人がいなくなった広間は、静まり返っていて声がよく響く。


その空気が、私を余計に緊張させる。


「…朔弥…様のことなんだけど」


橘さんの顔が、一瞬無防備になる。


知ってる。橘さんが、朔弥のことをものすごく好きだって。


でも。


「橘さんにはちゃんといっておきたいの。私、朔弥のことが好き。」


私にとっても、朔弥はすごく大切な人だから。


「橘さんが朔弥のことをすごく大好きなことも、知ってる。朔弥が、人を愛せないってことも。でも、それでも好きなの。朔弥じゃなきゃ、ダメなの」


「…それは、宣戦布告?」


橘さんの目が、まっすぐ私を見つめる。


私は、その目を見返す。逸らさない。絶対。