お父さんと別れて、私と朔弥は反対方向へ歩き始める。 見つめていた足元がだんだんとぼやけて、鼻の奥が痛くなる。 「…お前、また泣いてんの?」 「だ…だって、なんか…」 お父さんの寂しそうな、でもどこか嬉しそうな笑顔を思い出すとよくわからない感情でいっぱいになる。 「…戻るか?親父さんのとこ」 朔弥は前を見たまま言う。