私は掴んだ腕を、思い切り引っ張る。


驚いた朔弥の顔が見えて、次の瞬間、あなたは私の真上にいた。


私は絶対に離すものか、と手に力を込める。


「…なんだよ、随分と大胆だな?」


朔弥の両腕は私の顔の横でベッドに沈んでいる。


一歩間違えたら触れてしまいそうなほど近くにある朔弥の顔。


心臓はうるさいけれど、私は顔を逸らす気は無かった。


「…好き。朔弥様のことが、好き。」


私は言う。朔弥は少し目を見開いて、顔を背ける。


「あー…頭、おかしくなった?どっか打ったんじゃね?」


「ちがう!好きなの!聞こえないなら何度も言うよ、あなたが分かってくれるまで!」


きっと私の顔は真っ赤だろうけど、そんなのどうでもいい。


「好き!大好き!世界で一番好き!」


「バカ、うるせーよ!」


朔弥は慌てて私の口を手で塞ぐ。


「…なんで、そんなこと簡単に言えるんだよ。そんな気持ち、いつなくなるか分からねえんだぞ?信じられるわけ、ないだろ」


朔弥の目は、傷ついていた。


なんでかは、分からない。


でも、私だって、悲しいよ。