「ねー、千暁!
しっかりしてよー。」


「…ん。」


「もう!」



俺の態度が気に入らなかったのか、杏は俺の腕を引っ張って近くの公園に入って行く。


学校が終わると、杏が迎えに来てくれて一緒に帰る。


今日だって、真っ直ぐ帰る予定だっただろ…。



「……あれ?」



先を歩いていた杏が止まる。


なんだ…?


そう思って、前を見ると……。


そこには、俺が会いたかった人。


黒髪はまだ空にある太陽に照らされて、少し茶色に見えて。


その横顔は、なんだか寂しげに見えた。


なんでこんなところに…。


キィ…と独特の音を立てて、向日葵に近づいている。



「……想世架…?」



名前を呼ぶと、その小さな肩が跳ね上がった。



間違いない、想世架だ。


器用に車椅子をくるりと回して、真っ直ぐ俺を見つめる。