「どう?美味しい?」


「美味しいよ、聖美。
昔から君はお茶を淹れるのが上手いね。」


「ふふっ。
そよは?どう?」


「美味しいよ、ママ。
このケーキもすっごく美味しい。」



お茶と一緒に出された、シフォンケーキ。


ママの淹れる紅茶が少し苦めだから、甘いシフォンケーキがぴったり。



「あなたの会社の人がずっとここを整えていてくれたんでしょう?」


「うん、桜庭たちに頼んでおいたんだ。
だから粗方荷物は整えてあるだろう?」


「今度桜庭さんたちを呼んでみんなでお食事会でもしましょうか。」


「そうだね。
桜庭たちに感謝しておかないと。」



なるほど。


だから引越しした荷物とか、全部整えてあったんだ…。


ママ達の会話を聞き流しながら、紅茶を飲み干すと私は、隣にあった車椅子に手をかけた。