君が見せてくれた、私の世界

「ちーちゃん……ここって…。」


「冷泉くん…？」



バスを乗り継いで、着いた墓地。
海が見える小高い丘の上にあって…近くには、大きな大木が葉を揺らしていた。


この木…春になったら、満開の桜を咲かせてくれるんだってさ。
海と桜が好きなお前にとったら…すごい絶景だろ？



「……こっち。」



丘から見える、青い海を横目に…俺は、1つの綺麗に手入れのされた墓前で立ち止まった。

墓石には、白鷺家之墓と書かれてる。
間違いなく…想世架の墓。


その墓の前に、俺は途中で買ってきた向日葵をメインとした花束を備えて語りかけた。



「想世架。
今週も来たよ。
最近も暑くなってきたから、お前…また夏バテしてんじゃないかって心配なんだよ。」



そっと…墓石に触れる。
想世架の名前をなぞって、微笑みかけた。


毎週欠かさず来てるおかげか、想世架の墓を前にしても泣くことは少なくなった。
むしろ、ここに来ると…お前が俺の傍にいてくれてる気がするんだよ。