「君と出会ったことで、想世架は大きく変わっていった。
自分から、友達と出掛けたいなんてワガママを言い始めたんだ。」


「……。」


「その時は、同じクラスの女の子達とのお出かけだったけどね。
…あんな風に、自我が芽生えて……生き生きしたそよを見たのは初めてだったよ。」



想世架に、自我……。

あいつが俺に対してワガママを言わないのは、言い慣れてないから…?


まだ学校に通っていた時、いつもどこか一歩引いたところにいる感覚があったのは…どこまで踏み込んでいいのか分からなかったから…。



「だから…感謝、してるんだ。
千暁くんにも他のお友達にも。
……だからもう、そよを解放してあげるのを…手伝ってくれないかな。」


「……わかりました。」



今まで、想世架が頑張ってきたのを俺は知ってる。


想世架の頑張りを見てきたのは、ほんの一部分に過ぎなくても。
俺は、隣で見つめてきたつもりだ。


だから、もう…休ませてあげたい。


それに…またお前には、奇跡が起きるかもしれないから。