ーー『そよちゃん。』


「……っ!」



ふと、布団から出て目を開けてみると…そこには、直央くん。


うそ…なんで……?
夢じゃないよね…?
……!まさか……。



「……おむ、かえ…?」


『ううん。違うよ。
あ、でも…そよちゃんのお迎えにはちゃんと来るからね。』


「じゃあ、なんで…。」


『そよちゃんがこっちに来ちゃいそうだったから。
俺が止めに来たの。』


「……止め…?」


『うん。
そよちゃんには、まだ早いから。
こっちに来ちゃ…ダメだよ。』


「……す、なお…くん…。
わ、私…あの、絵…嬉しかった…!」


『…あははっ!
それ、今言うの?律儀だなぁ…。
…ありがとう。』



ずっと、言いたかったの…。
本人に伝えたかった…。
嬉しかったよ、って…。



「…だって、嬉しくて……。」


『うん。
見てたから、知ってる。
あんなに喜んで…泣いてくれた。』


「……っ…。」



また、泣きそうになる。
あの日のことを思い出して、今までは平気だったのに、本人を目の前にしたから…。



『ふふっ。
そよちゃんを泣かせるなんて俺は悪い男だね。
…でも、あの時……そよちゃんが俺の手を握っててくれたのは俺も嬉しかった。
最期に、大好きな人に触れてもらえて…温かい気持ちで逝けたから。』



ありがとう、と。
あの優しい微笑みを見せながら、頭を撫でてくれた。