「冷泉くん。」


「おばさん……。」



食事を終えて戻ってきたおばさん。
想世架の具合が悪くなってからは、ほとんど寝ずに面倒を見てるらしい。

いつなにが起こるか分からないから、目が離せないと。



「ありがとう、宿題の方は大丈夫かしら…?
負担になってないといいけれど…。」


「大丈夫です。」


「なら、良かったわ…。」



そう言いながらも、おばさんの瞳は心配そうに想世架を見ている。

どうにか…ならねぇのか……。
なんとか、治してやれねぇのかよ…。



「……そうだわ、ねぇ冷泉くん。」


「…なんですか?」


「ここら辺の桜はいつ、咲くのかしら…?
そよに見せてあげたいの。」


「4月の上旬には満開になりますよ。
あと、2ヶ月くらいですね…。」


「そう……。」



嫌な想像が頭をよぎる。
もしかしたら、2ヶ月後には……と。


でも、すぐにそんな想像をかき消した。

想世架は死なない。
俺が死なせない。
守り抜くと決めたから。