だけど、白鷺は。


俺が想像していた言葉とは違うことを言った。



「わ、私…後ろがいいです…。
前だと、後ろの席の人が車椅子で見えなくなっちゃったりするから…。」


「そっか。
うん、そうだね。」



俺が怖くないのか?


ピアスだって開いてる、髪色だってこの真面目学校じゃ珍しい栗色。



「せっかくだから委員長。
白鷺さんを連れてってくれる?」


「わかりました。」



白鷺を連れてくる委員長の顔は、紛れもなく優越感に満ちている。


…生徒の席の間を抜けてくるときに、白鷺に向けてみんなが笑顔で話すから。



ー「白鷺さん可愛いなぁ…。」


ー「後で話しかけてみよ!」


ー「白鷺さん通ったらめっちゃいい香りしたんだけど…!」



こそこそと聞こえる中、白鷺が委員長に押されて俺の隣に来た。