「……そういうことかぁ。」




千暁が帰って、夕飯も全て済ました消灯前の1番落ち着いてる静かな時間。
ポツリ…と私の呟きだけが部屋に響いた。


早速、千暁がくれた本を読み始めて…私の想像とは違ったもので声が出た。
てっきり、余命宣告された人や病気や事故で亡くなったりした人の話かなーとは思ったけど…これは戦争ものだ。

戦争によって、両親を亡くした兄妹の話。
主人公である妹は、戦争によって兄まで失うことになった悲しみを綴っている。



「……悲しいなぁ…。」



三分の一程度読んで、しおりを挟んだ。
これは涙無しでは読めない。

この作者さん特有の、冒頭の文章だけで心を掴まれる。
この文章の書き方は、ほかの人には真似出来ない。
この作者さんにしか出来ない書き方だから、余計に物語に吸い込まれていく。
…あれ、いつの間にか私までファンになってる…。



「直央くんのがうつっちゃった…?」




もう…。
あの人に、どこまで影響されてるんだ…私は。


私も…なにか残せたらいいな。
誰かに、いい影響を与えられたら…。



「多分、もう……。」




これ以上は、言わない。
言いたくないから…言わない、言えない。