「直央くんのお父さん。」
帰り際。
私は、トビラに手をかけた直央くんのお父さんを呼び止めた。
「これだけ、奥様にお伝えください。
お子さんは…1人だけじゃないと。
貴女には、まだ守らなければならない存在があるのだと…。」
「……ありがとう、想世架さん。
貴女に会えて良かった。」
「私もです。」
失礼、と部屋を出ていく直央くんのお父さんを見送ってベッドに横になった。
よく、2人いるうちの1人の子どもを失って…もう1人の子どもの世話を出来なくなるって話を聞く。
亡くなった子どものことばかり、頭の中によぎってしまうって…。
充分な愛情を受けられず、しかも…母親の歪んだ面ばかり見てしまった子は歪みやすい。
可愛い妹、と直央くんは言っていた。
そんな大事な妹さんを…きちんと育ててほしい。
「だからっ……っぐ…!」
一瞬の出来事だった。
ぐわっと、喉の奥から何かがこみ上げてきて…咄嗟のことに動けなくて。
そのまま、血を吐き出す。
帰り際。
私は、トビラに手をかけた直央くんのお父さんを呼び止めた。
「これだけ、奥様にお伝えください。
お子さんは…1人だけじゃないと。
貴女には、まだ守らなければならない存在があるのだと…。」
「……ありがとう、想世架さん。
貴女に会えて良かった。」
「私もです。」
失礼、と部屋を出ていく直央くんのお父さんを見送ってベッドに横になった。
よく、2人いるうちの1人の子どもを失って…もう1人の子どもの世話を出来なくなるって話を聞く。
亡くなった子どものことばかり、頭の中によぎってしまうって…。
充分な愛情を受けられず、しかも…母親の歪んだ面ばかり見てしまった子は歪みやすい。
可愛い妹、と直央くんは言っていた。
そんな大事な妹さんを…きちんと育ててほしい。
「だからっ……っぐ…!」
一瞬の出来事だった。
ぐわっと、喉の奥から何かがこみ上げてきて…咄嗟のことに動けなくて。
そのまま、血を吐き出す。


