「……まだ、そっちに行くのは遅くなりそう…というか、まだ行きたくないけど…。
もし、行くことになったら……直央くんにお迎えに来てほしいな…。」



笑われちゃうかな。
わがままだなーって。
…でもね、直央くんなら……許してくれる気がするんだ。


仕方ないなぁ…って。



「その時は、またボードゲームしようね…。
今度は…負けないから……。」



誰もいない、病室で。
私はひとり…空に向けて、そう声を掛けた。



空の上にいるお友達。
私の大切な人の、ひとり。



君のいる世界で笑えたこと。
君に教えてもらったこと。

全部、全部……覚えておくから。
無駄にはしない。
君のおかげで、成長できたんだ。



「……そうだよね…?」



置いていかれる辛さを知ったから。
大好きな人に、あんな悲しい思いはさせたくないから。


私は、千暁を置いていったりしない。
千暁にあんな悲しい思いはさせたくない。