「……っ、ぁぁ…っう……。」



何度も、何度も。
手紙を読み返しては、胸に抱きしめる。


少し震えている文字。
直央くんの涙で、滲んでしまった文字。
すべてが、今まで直央くんがここに存在していたことを証明している。



「……す、なお…くん…。」



ありがとう。
こんな、私を愛してくれてありがとう。


直央くんと過ごした時間は、思い返せば短いものだったけれど。
私にとっても、かけがえのない時間だよ。


沢山笑ったね。
お馬鹿なこといっぱいして、笑って。

…覚えてる?
直央くんが持ってたボードゲームを2人でして、私が負け続けて少しだけ泣いちゃったこと。
あの時、直央くんが楽しそうに笑うから…私もつられて笑っちゃったんだよ。


それから…沢山泣いたよね。
私が、いつ死ぬか分からない…死と隣合わせの生活を小さい頃からしてるって言ったら…直央くん、泣いてくれたよね。
それで、頑張ってきたねって……褒めてくれたね。

小さい悩みでも、貴方は真剣に聞いてくれた。
大丈夫だよ、って励ましてくれた。



「……私たち…ふたりだけの、思い出が…沢山あるんだよ……。」



千暁との事があってからは、恋の相談にも沢山乗ってくれたね。
今思うと…少し、酷なことしちゃったね。
ごめんね。


私、わがままで自分勝手な性格だから……直央くんにお願いがあるんだ。