「……そうか。」


「でも、そいつは…あと1年生きられるか分からない。」


「…!」



親父が息を呑んだのが分かる。


医者の親父にしたら…それが何を物語っているか、手に取るように分かるはずだ。



「…でも、もしかしたら生きていられるかもしれない。
そうなった時…俺が、あいつを治してみせる。
俺が医者になったら…あいつを治してやる。」


「……。」


「だから、お願い…します。」



俺は、初めて…親父に頭を下げた。


伝わって欲しい。


俺が…今、どんな思いで想世架と向き合おうとしているか。



「……分かった。」


「親父…。」


「少し遅れたが…お前には、医者の道が相応しい。
医学部のある大学への進学…認めよう。」


「……ありがとう。」



これで…俺は、医者を目指せる。


親父のような医者にはなりたくねぇから…何としてでも、良い大学に入ってみせる。