「…落ち着いた?」


「……うん…。」



どのくらい時間が経ったんだろうか。


落ち着いてきた頃、パパは私をリビングのソファまで連れてきて…アイスココアを淹れてくれた。


ママは、とっくに華道に出掛けちゃったみたいで…なんとなく寂しいリビング。



「……そよが泣いていた理由を聞いてもいいかな?」


「…なんでも、ないの…。」



立てないのが嫌だ、なんて言えない。


歩きたいんだ、なんて言ったら…きっとパパを困らせる。



「……そよ。」


「本当に、なんでもないんだ…。
ただ…車椅子から落ちて、びっくりしちゃっただけ。」



そう言っても、パパは私のことを心配そうに見つめたまま。


その瞳は、心配と共に…私のことを疑っているようにも見えてくる。