俺が、想世架を好きだと気づかせてくれたのは……杏だった。



「本当は、想世架ちゃんが好きなんでしょ?
なら…迎えに行きなよ。」



あの夕焼けの見えるあの公園で、杏にそう言われたのは…数日前。



いつも通り、杏の通学路の途中にある俺の学校に寄って合流してから帰る。


ただ、そこに流れる俺達の間には会話が一つもない。


……お互い、話すことがねぇから。


俺は気がつけば、想世架のことばっかり考えていたせいで…杏の話をまともに聞けてなかった。



「ねぇ、千暁。」


「……ん?」



あの公園に寄った時、夕日に照らされた杏の顔が眩しくて見れなかった。


…違う、杏が真っ直ぐに俺を見つめるから……目を合わせるのが怖かった。


何もかも見透かされそうで、想世架のことばっかり考えてるのがバレそうで。


つい、目を逸らした。