ーー「これでもう、大丈夫だ。」



「…ごめんなさい…。」



電話をしたら、冷泉くんはすぐに来てくれて。


ガラスの破片を片付けると、私の手まで手当をしてくれた。



「いいよ。
…想世架、顔上げて。」


「……っ…。」



俯いてた顔を上げると、そこには。


整った冷泉くんの顔が間近くにあって、思わず目を逸らした。



「なにか、あった?」


「……なんにも、ないの…。」



冷泉くんがソファに座らせてくれて、一緒に掛けてくれた膝掛けを握りしめる。



「想世架。
傷が広がって血が滲むから、やめろ。」


「あっ…。」



冷泉くんに手を握られて、思わず力が緩む。


惨めだ…私…。



「…昨日は、悪かった。」



沈黙が気まずくなってきた頃、冷泉くんは私に言った。


どうしてそんなこと言うんだろう…。


冷泉くんが謝ることなんて、ないのに…。