「昔も、今も、変わらない。
ライカはずっと綺麗で…。
そうだな、強いて言うなら…一段と綺麗になった。…かな?」
そう言って、エルトは首を傾げながら無邪気に微笑った。
心が暖かくなる。
出逢った時から変わらない、大好きな笑顔。
すっかり遠い人になってしまったと思っていたのに…。
”勇者様”になっても、彼は彼のままだった。
「…っもう!
いつの間に、そんなに口が上手くなったのよ!バカッ!」
私はクスクスと笑うエルトにそう言い放つと、その場を立ち上がり、背を向けてテントの方に向かって歩き始めた。
「私、やっぱり少し寝るわ〜。後はよろしくね〜。」
「ああ、おやすみ。ライカ。」
「おやすみ、エルト。」
そして…。
いつもと変わらない、挨拶を交わした。
旅が終わっても、これからも…。
私達は、変わらない。
エルト。
英雄になっても、そのままの貴方でいてね!
【終わり】