乗り気ではない。

が。

うら若い女の子を独り置くのも、何となく気がひけたものか、

「うーん、じゃあ駅まででいい?」

「…いいの?」

「ま、袖すり合うも多生の縁ってやつやからね」

「やった! ありがとー」

ピンクのヘルメットをホルダーから外し、中身を確認してから彼女に渡した。

「これ可愛いなー」

シートにまたがると、バックミラーでどうやら見ているようであった。

スロットルを回し、少しだけ空吹かす。

「しっかりつかまっときや」

後を気にしながらも、砂浜をあとにした。