その週末。

アルバイトの帰り道、泉は一徹を駅前で見かけた。

誰かと話しているようである。

「…あ」

見るとそれは清楚な、紺色のワンピースがよく似合う黒髪の、切れ長の眼をした美女である。

雑踏のなか、何やら話していたらしいが、

「…まぁはるかのことかてあるから、このぐらいにするわ」

というような関西弁が風に乗って聞こえた。

「はるかって…誰だろ」

泉は一瞬、頭から全てが消えてしまうような気がした。