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緑斗と出逢って3日目の朝を迎えた。


「翠ちゃん、おはよ」

こうして目覚めて誰かがいることも挨拶されることもまだ慣れない。


緑斗は本当になにも食べない。そして幽霊だからやろうと思えば浮くことも出来るらしいけど本人いわく地面に足が着いてるほうが落ち着くらしい。


どうせ私以外には見えないんだし、この家の行動範囲を規制してるわけじゃないけど緑斗は私の部屋以外は入らないし行かない。

そこは一応、居候の身として弁(わきま)えてるみたい。


それと私が寝る時は一時的に部屋を出てもらっている。理由は気が散って眠れないから。


「そういえば幽霊って睡眠も必要ないの?」

寝癖がついた前髪を気にしながら素朴な疑問を聞いてみた。


「うーん。俺は寝たい派」

それはつまり寝ない派もいるってこと?幽霊事情はやっぱりまだ分からないことだらけ。


「でも翠ちゃんの寝顔を見れるなら寝ない派になってもいいかな」

「追い出すよ」

「嘘嘘!ごめんなさい……!」

最近は会話を重ねてるせいか喉が疲れなくなった。だって緑斗がお喋りだから無口になりたくてもできない。


と、その時……。

コンコンッと2回部屋のドアがノックされて、向こう側から問いかける声。