『10月2日《月》午前9時10分』




うだるような暑さも終わって、涼しい秋のシーズンを迎えていた。学校は明日から短い秋休みに突入し、生徒たちはいつも以上に嬉しそうだった。

「………」

その気持ちは、僕も一緒だった。

窓から見える、真っ赤に染まった紅葉の木。今僕は、紅葉のように顔を真っ赤にしているのだろう。

「体調不良のため、長らくお休みしてました。佐伯です。今日から、またよろしくお願いします」

久しぶりに聞いた、透き通ったきれいな声。その声を耳にするだけで、僕の鼓動が速くなる。

ーーーーーー美希さん。

教壇に立っている美希さんの方に視線を向けると、それはまちがいなく佐伯美希さんだった。

ーーーーーードクン!

僕の心臓がドクンと跳ねた。