二人だけの秘密



『8月20日《土》午後8時36分』




永遠に終わらないと思っていた長い夏休みが、後、数日で終わろうとしていた。
美希さんは未だに店にも来ておらず、会えていない。

「夏休み終わったら、学校に来るだろう」

淡い期待を抱きながら、僕は夏休みの宿題に目を落とした。机の上に乗っている、数枚の用紙。それと、シャーペンと消しゴム。

「はぁ」

僕はイスから立ち上がり、閉めていた寝室の窓を開けた。

いつもならクーラーを付けているときは窓を閉めなさいと母親に言われるが、今は近所の地蔵盆に出かけていていない。

「………」

クーラーの冷たい風が、開いている窓から外に逃げていく。外からは、賑やかな笑い声が聞こえる。

「暑い」

窓の外から見える夏の夜空は星が瞬いてきれいだったが、やはりまだ、外は暑い。

夏も終わりに近づいていると言うのに、気温にまだ大きな変化は見られない。