二人だけの秘密

「私の彼、運送業に勤めていたんです。朝から晩まで、私の為にがんばって働いてくれていました。早く出世して、私と一緒に暮らすことが俺の夢だと言ってました」

「………」

かなさんのしんみりとした声が、僕の胸をチクチクと痛める。

「でもある日、彼が運転していたトラックがガードレールに衝突しました」

「もう、やめ………」

これ以上、この話を聞くのに僕は耐えられなかった。が、

「原因は、毎日休みなしの長距離運転で疲れ、意識がぼんやりしていたんです」

かなさんは、悲しそうに言う。

「それで、彼氏さんは………？」

僕は、思わず質問した。その声は、微かに震えていた。

「その事故のせいで頭を強くぶつけ、脳に後遺症が残りました」

「………」

聞かなかったらよかったと、僕は後になって思った。