「…練習、行くでしょ?」
練習…
“お前といると苛々する”
きっとまたそんなことを言われてしまんでしょう…
「…今日は、用事が、あって…
代わりに恵ちゃんを連れていってあげて下さいっ」
逃げた。
小さく笑ってそう言うと側にある鞄を手に取った。
後ろでは嬉しそうに喜んでる恵ちゃんの声が聞こえてきて…、
「やった!
…ありがとぉっ」
ううん、こちらこそ。
そう言いたい気分です。
「奏音、…姫山先輩のことなら気にしなくて「気にしてないです!」」
…嘘、です。
けど今は、
「…本当に用事です!
えーと…、洋服、見に行きたくて…」
「分かったわ…」
こんなお見通しの嘘、結衣ちゃんが引っ掛かるわけがない。
目を見れば分かるんです。
「…じゃ、またあとで」

