片恋電車~君の隣は特等席~



暑い夏。

駅までの道の木には、たくさんのセミがいる。
ミンミンとその大きな鳴き声を聞くと、改めて夏だと思う。


たった5分の道のりでも、ダラダラと汗が出る。


やっとの思いで駅にたどり着き、改札を通る。

駅のホームで電車を待ちながら、あたしはウトウトし始めていた。


……眠い。
昨日寝たのに眠いなんて……。

段々と重くなっていく瞼をこする。


しばらく待つと、ホームに電車がやってきた。

あずき色の車体が個人的にお気に入りで、あたしはこの電車を見る度にかわいいと思うんだ。


「ねむ……」

おぼつかない足取りで電車のソファーに座って、あたしは目を閉じた。