夏休み入る直前のときの先輩はあんなにも魅力的だったのに、今じゃその欠片も見当たらない。


どこに行ってしまったんだ、あの先輩は。


帰ってこーい!!




「うるさいからですよ」




「人間、喋っていなくちゃ生きていけないんだよ。そんなこと言っちゃ、俺死んじゃう!」




標準の会話量を超えているから、うるさいと言ってるんですよ!


あと無駄に声大きいし?


来るならば知的な男子になってから来てください。


そう思いつつも、先輩にあえて嬉しいと思う気持ちもあったり……して。




「それがうるさいんです。ところで、何かあったから来たんですよね?もちろん」




「そうだよ!優茉ちゃん、来週誕生日なんだって?」




なぜ私の誕生日が知られている……!?




「なんで先輩が知ってるんです……?」




ワナワナと震える私の肩に、自分の危険さを感じたのか待って待ってと必死な声が聞こえてくる。


ふぅーと大きく深呼吸してから、先輩と向き合う。




「優茉ちゃんって意外と馬鹿なの?」




不器用に口角を上げて微笑むと、嘘ですごめんなさいと私の求めていた言葉を言ってくれた。




「陽夏くんから聞いたんだよー」