なんだろう?


セリカさんは先輩を連れて、ここから五十メートル程離れた場所に向かった。


何の話、かな?


やっぱり元恋人同士だから、私交えて話したくないこととかあるよね。


今何してるの?とか?……そんな普通の話じゃない気がするけど。




「ね、ねぇ」




「は、はいっ?」




ツンツンと背中をつかれて、ビクッと肩を震わせると声をかけてきた女の人は慌てて謝ってきた。


その女の人は、さっきセリカさんと歩いていた人。




「あの、あなた、彼の彼女?」




そうか。少し遠いところにいたから、話し声が聞こえていなかったのか。




「いいえ、ただの後輩です」




「……そう。少しだけ、忠告しておこうかな」




忠告?


セリカさんを傷つけるなよ、的な?そんな感じですか?


私の方が既に傷つけられてるんですがね!




「あの子……って、芹香のことね、芹香は気性が荒いの。だから、私でも怒らせないかといつも冷や冷やしててね。だから、あなたも気をつけて。別に、あなたの意見を全てあの子に合わせてと言っている訳じゃないの。ただ……、怒らせると怖いよっていうだけだから」




ごめんね、いきなり、と手を合わせてくれるこの人はいい人だ。


セリカさんは怖いけれど、わざわざこうやって忠告してくれるなんて……優しすぎる。




「私は、昔からの芹香の友人ね。まぁ、また会ったらその時にゆっくり話しましょ」




お名前聞きたかったな……。




「優茉ちゃーん!」