お互いの歩くペースがゆっくりになり、自然と距離が近くなる。


もうすぐ学校が見えてくる。


でも、私たちはあの頃のように離れたりはしない。彼氏と彼女という関係になれたのだから。


……緊張はするけれど。


登校中の生徒が現れ、私たちを見てくる。


冷やかしの声、不思議そうに首を傾げる姿、妬むように睨む目、様々な表情が私たちを見ている。


……先輩が人気すぎるから。


もちろん、皆から好かれる先輩が好きだから人気者でも構わないけれど、なんか、ねえ……?


私は彼女なんだよ!


もう少しくらい、祝福してくれたっていいんじゃないの?




「優茉ちゃん、大丈夫?」




「先輩の彼女になったからには、こんなこと慣れっこにならなくちゃいけないんです。大丈夫です、私は強いですよ」




甘い甘い先輩は、私のことを必要以上に心配する。


そこまで心配してたら、先輩のほうが心配のしすぎで禿げてしまわないかな……。




「優茉」




あっ、幸だ……!


校舎に入ると、幸が優しい微笑みと共に立っていた。


この雰囲気の中で、たった一人私たちを応援してくれるだろう人。


あと、ここにはいないけれど、瀬戸川先輩も応援してくれるだろう。