「お母さん、髪型変じゃない?」




先輩に告白された次の日にあたる今日。初めて、彼氏彼女として朝を共にするのだ。


周りのみんなにはきっと嫌な顔しかされないだろうけど、それでも先輩の隣に立ちたいとわがままを言ったのは私だ。




「変じゃないわよ。変といったら、あなたよ。髪型の確認なんて、滅多にやらなかったのに」




そんなことをお母さんに言われ、胸がどくんと跳ねる。


別に隠すつもりはないけれど、話すと絶対ニヤけるし、そんな姿見られたくない。


だから、今はまだ話さないでおくつもり。




「べ、別にいいじゃん!」




そーう?と不思議そうに首を傾げるお母さんから顔を逸らし、行ってくる!と玄関まで早足で向かった。


もう少ししたら来るかな、先輩……。


いつもは適当に履くスニーカーを、今日は紐を外してから履く。


ど、ドキドキする……!


でも、先輩にそんなこと悟られたくないし、平常心、平常心。


そう唱えながらも、心臓は跳ね上がっていく一方で……。


ゆっくりとドアを開けた先にいた人の姿に、また心臓が跳ね上がった。




「優茉ちゃん!おはよう。見て、こんなに空綺麗だよ」




いつも通りの先輩なのに、心臓が破裂しそうなくらい音を立てている。


ごめんなさい、先輩……!


心の中で謝って、先輩になんの返事もなしに隣を通り抜け、すたすたと歩く。


これじゃあ、行動は付き合っていない頃と同じだ……。