ファミリーレストランを出て、右に曲がり、またさらに右に曲がったところで電柱の影に潜む先輩がいた。


心配そうに眉を下げて、スマホを片手に持っていた。


さっき出た時に、スマホの中を確認したのだが、何着か電話が来ていた。




「大丈夫ですよ。……素敵な人でした」




「……何かあった?」




私がセリカさんのことを素敵だと褒めるとは思わなかったのか、不思議そうに尋ねてきた。


私は、ニンマリ笑って、内緒、と答えた。




「なっ、なにそれ!」




頬を膨らませる先輩に、悪魔の笑みをプレゼントして歩き出した。


さっきセリカさんと話したことで、心が軽くなった気がする。




「先輩」




私は立ち止まった。


後ろを振り向くと、四、五歩離れた先に先輩が怒った顔で立っていた。


内緒と言ったことが効いているのか。


そんな先輩に、最高級のスマイルを。




「好きです。誰よりも、先輩のことが好きです。だから、私と――――」




「ま、まってまってまって!」




付き合ってください、と言おうとしたのに、慌てた先輩に止められる。


ビックリして、口が縦に開いた状態で止まる。