ふぅ。
一息ついた。
「…この世の中、本当に楽しいことがない。」
彼女は1人静かに通学路を歩いていった。
  ★
クラスのドアを開けると、いつも通りの元気な声が飛んできた。
「あー‼マーチだ!遅いよもう!おはよっ‼」
「うん。おはよ。だからさ…その呼び方止めてくれない?」
「え~っ!どうして?可愛いじゃん‼」
マーチこと、冷静と努力というのが好きな田切 希。
そして、希とは真反対の小泉 千。世の中では、恋が一番!と思っている。本人は、まだ運命の相手…と言うものとは、出会っていないらしいが…
「ねえねえ!今日ね‼転校生がね‼来るんだって‼男の子らしいよ‼運命の相手だったらな~!イケメンなら良いなあ…」
「はぁ。いつにも増して元気だなって思ったら…やっぱりそう言うことか。」
「あたぼうよ!」
…何故こんなにも性格が違うのに仲が良いんだ?不思議だが…まあ良しとしよう。
「希もさ―この際〝恋〟したらどう?このクラス、けっこうメンツ高い方だと思うよ?て言うかさ希、今までこの人良い!とか思ったこと無いわけ?」
「うん。無いね。メンツ?…イケメン嫌い。自分のこと鼻にかけちゃってるし。意味わかんない。」
「はぁ。どうしてこんなにひねくれちゃったのかね…」
希は、ひねくれてなんかいないよ。
そういい放ち、読書を始めた。