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投票時間の5分前になると星夜は教室へ戻って来た。


「戻って来るなら逃げなきゃいいのに」


彩が嫌味を言うが、星夜は何も言わずに自分の席に座った。


今度の投票結果は和5票、星夜5票で、思っていた通りのドローだった。


「今回はジャンケンで1人に絞るか、2人とも殺すか――」


先生が説明をしている間に、彩が動いていた。


それは誰も静止することのできない速度で、隣の席に座っていた和の首を掻っ切ったのだ。


和が手にカッターナイフを握りしめたまま目を見開いた。


「え……?」


不思議そうな顔をした和はそのまま椅子から崩れ落ちた。


一拍遅れて、教室中に悲鳴が聞こえた。


混乱する教室内に紛れて逃げようとしていた星夜を、男子が捕まえた。


「離せよ! 逃げ切れば俺は助かるんだ!!」


星夜は抵抗するが、3人の男子生徒に抑え込まれてびくともしない。