彩が大きな声でそう言った。


だけどまだ30分は経過していない。


「ちょっ待ってくれ! まだ時間はあるだろ!」


和が叫ぶ。


「みんなの意見が変わる前に投票しなきゃいけない」


彩が強くそう言った。


「おかしいだろそんなの! 俺たちの言い分も聞いてくれよ!」


星夜が必死になって訴える。


2人の言い分なんて聞きたくもない。


どうせあれこれ言い訳をするだけに決まっている。


「俺の妹、病気なんだ!」


みんなが投票用紙に向かう中、星夜が言った。


「まだ小さくて幼稚園に行ってるんだけど、ほとんど休んでて……!」


みんなの手は止まらない。


カリカリとペンを走らせる音だけが聞こえて来る。