途端に、彩があたしの手から離れてしまった。


彩に突き飛ばされてその場に尻餅をついた。


痛みに顔をしかめた次の瞬間、彩がサツキにつかみかかっていた。


「やめて!」


そう叫んで立ち上がる時には、すでにサツキの持っていたカッターナイフが彩の手によって奪われていた。


サツキが青ざめる。


彩がカッターナイフを握りしめた手を振りかざす。


まるで、すべてがスローモーションのようだった。


彩に躊躇する様子は見られなかった。


サツキの首にカッターが当たり、大きく切り裂かれた。


一瞬の静寂の後、鮮明な赤い血が一気に噴き出した。


サツキは何が起こったのか理解できない、目を大きく見開いた状態で横倒しに倒れて行ったのだった。