「じゃあ、今から30分間2人ともがんばれぇ!」


先生の声が合図になり、彩が教室を駆け出した。


しかしサツキはなかなか動く事ができずにいた。


モタモタと筆箱からカッターを取り出している。


「自分が選ばれたのに、なんで準備してないんだよ!」


裕司が怒鳴る。


「そんなの、仕方ないじゃん!!」


サツキはそう怒鳴り返し、ようやく教室を出たのだった。


「サツキを手伝わなくていいの?」


あたしは裕司へ向けてそう言った。


あたしたち全員が共犯だ。


投票したなら、サツキを手伝うべきだった。


「できない」


裕司はそう言って自分の席に座った。