「投票用紙を配ってくれ」


立ち上がってそう言ったのは星夜だった。


「まだ話し合いの時間だ」


先生が言う。


「雨が上がる前に進めたいんだろ?」


「それはそうだが……」


先生はクラスメートたちを見つめた。


「どうせ次の投票で選ばれる人間は決まってるんだ。話し合いの時間なんていらない」


「星夜、なんでそんなことを……」


真奈美が唖然としている。


「嫌なんだ。こんな雰囲気のまま30分も待つなんて」


星夜の表情は真剣だ。